領域特化型コンサルティングについて

コンサルティングとは何か——この問いは、再生医療やバイオベンチャーといった変化の激しい分野においてこそ、改めて考える必要があるテーマです。現在、多くの企業が活用しているのは、マニュアルに基づいた一般論を展開する「汎用型コンサルティング」です。しかし、こうした支援には、特定細胞加工施設の運用やCPCの構築、あるいは特定細胞加工物の取り扱いなど、業界特有の課題に深く切り込むことが難しい現状があります。

成長過程にある医療機関やバイオテック企業にとって、表面的な市場分析だけでは的確な意思決定に結びつきにくいケースが多く見受けられます。例えば、厚生労働省の「医療施設動態調査（令和6年4月）」によれば、全国には約1８万件の医療施設が存在し、開業医を取り巻く競争環境は年々厳しさを増しています（出典1）。

こうした環境で生き残るには、医療の最前線（自費診療や再生医療など）を深く理解し、かつ現場で成果を上げてきたプロフェッショナルの視点が求められます。たとえば、再生医療ビジネスひとつをとっても、大別すると再生医療等製品や特定細胞加工物のみに留まらず、その周辺産業までを視野に入れた事業戦略が求められます。このような現場経験値によってこそ得られる「付加価値」を提供できるのが現在求められる「領域特化型コンサルティング」と言えます。

現場に根ざしたノウハウと構造的な課題解決力。この2つを併せ持つ専門家によるコンサルティングは、単なる助言を超えて、事業成長を強力に後押しする「加速装置」となります。もし、こうした知見を持つコンサルタント集団が適切に設計・運用されれば、それはもはや支援という枠を超え、医療・バイオ業界における新たな価値創造の中核を担う存在になるのではないでしょうか。

出典1：厚生労働省 医療施設動態調査（令和６年４月末概数）https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/m24/is2404.html